農業

700年前の技術で肥沃な土壌をつくる。そのシンプルな方法がもたらす地球規模のメリットとは?

元記事

This 700-Year-Old Farming Technique Can Make Super Fertile Soil

This 700-Year-Old Farming Technique Can Make Super Fertile Soil

農業技術は日進月歩。たゆまぬ進歩を続けています。しかし、その過程では、色々な回り道や後戻りがあるかもしれませんね。今回のご紹介するのは、700年前から西アフリカで行われていたやり方が、実は肥沃な土壌をつくるのに効果が高かったという研究成果です。

熱帯雨林というと何が思い浮かぶでしょう。密林、アマゾン、生物の宝庫、といった豊かな自然のイメージではないでしょうか。ところが、ひとたびその地下にある「土壌」に目を向けてみると、それはとても養分が少なく農業には全く適さないものなのだそうです。たくさんの生き物が住んでいるのになぜ?と思うかもしれませんね。昆虫、菌類、バクテリアといった生き物の死骸は、ふつう「分解」という過程を経て土壌の養分となるわけなのですが、熱帯雨林では、その生き物の数があまりにも多いため、死骸が分解される前に他の生き物に食べられてしまうのだそうです。それで、あの密林の下にある土壌は、赤土や黄色土といったやせた土地になっています。

このような熱帯雨林の土壌ですが、実は、ブラジルや西アフリカの一部地域には、非常に肥沃な黒土が点々とあることがこれまでに分かっていました。なぜ養分をたくさん含んだ土壌が生まれたのでしょうか。。。?その謎に迫る研究が米国の大学を中心に進められ、このたび研究成果が発表されました。それによると、答えはいたってシンプル。現地で昔から行われていた「木炭を土壌に混ぜる」という慣習がその要因なのだそうです。研究では、リベリアとガーナを対象に計177か所の調査が実施され、これらの地区では土壌の栄養分(有機炭素)が通常の2~3倍も含まれていることが明らかとなりました。

実は、「木炭を土壌に混ぜる」というのは、まさに現代の地球的課題に対し、一石二鳥となる可能性があるのだとか。一つめに、「木炭」をつくる過程では一般に「燃やす」のに比べて二酸化炭素の排出が少なく、「木炭」により炭素を土壌に戻すため、地球温暖化の抑制に効果があること、二つめに、地球規模での人口増加に対し、今後十分な食料を確保するためには、「木炭」というシンプルな方法による農業の強化が大変有効だと考えられることです。
ただし、木炭をつくるために新たに樹木を伐採したり、枯れ木を単に「燃やす」、焼き畑のようなやり方をしたのでは逆効果ですよね。簡易な木炭の生成技術についても今後研究が必要かもしれませんし、その効果が出るまでにどのくらいかかるのか?といった点も気になります。今後の道のりは長そうですが、「木炭」というシンプルな解決策ならではの活躍を期待したいですね。

Source:
<http://modernfarmer.com/2016/06/terra-preta/>
<http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-06/uos-7yw061616.php> ・・・上記記事の引用元

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