食育

都会の学校で、野菜づくりを通じ、生きる力を学ぶ。「ゴールデン・ブリッジ・スクール」の取り組みとその副次効果

画像 Bruce Tuten from Flickr

元記事

Nation’s first K-8 urban farm school teaches kids how to grow their own food

http://inhabitat.com/nations-first-urban-farm-school-teaches-kids-how-to-grow-their-own-food/

近年日本でもすっかり浸透してきた「食育」。保育所や学校の庭で野菜を育てたり、自分たちで食事の支度をしたり、最近は様々な場所・アイデアで実践されていますよね。そんな「食育」ですが、アメリカサンフランシスコでは、住宅街のど真ん中に、「食育」をはるかに超えた「農場学校」が実際に計画されているのだそうです。

その学校の名前は「ゴールデン・ブリッジ・スクール」。「エコロジーを理解し、自分の食べ物は自分で育てるとともに、栽培、調理、裁縫、木工といった生きる力を身につける」ことを教育方針としています。

計画中の新校舎の写真を見ると、まず目につくのは100%屋上緑化された校舎の屋根。校舎の高さはすべて2階建ての低層で、複数の棟に分かれているのが特徴的です。また、校舎の壁は広いガラス張りの窓になっていて、自然の太陽光が降り注ぎ、非常に明るくまた木材をふんだんに取り入れた温かみのある施設になっています。周りにある農園や遊び場もとても広い!

実際、子どもたちは、菜園で野菜を育て、有機的につながりあった菜園・教室・多目的ホールなどを活発に行き来し、仲間同士協力しながら学校生活を送るでしょう。まさに「生きる力」をはぐくむのに絶好の環境のように思えます。しかもこれが大都市サンフランシスコの真ん中にあるなんて!

さて、この新校舎、実は、この地域でかねてより問題となっていた洪水の対策にも一役買っているのだそうです。そのわけは、地下に貯水槽を設置して雨水をためておき、トイレや農園の水やりに使用することができるから。雨が降った時に、余分な雨水を貯水槽にためておけるという点で、洪水対策になるのです。また、当然ながら、菜園や遊び場は土の地面ですから雨水が地下に浸透しますし、エントランスなどにわずかにある舗装は透水性で、やはり雨水は地面にしみ込んでいきます。

もともと、「エコロジー」の一環として雨水の再利用や透水性の舗装を計画したと思われますが、結果として洪水対策にも役立つ取り組みとなりました。

日本国内では、近年、保育所の待機児童問題が深刻化し、新たな保育所等の整備が進められているところですが、「子供の声がうるさい」などと地域の反対に合い整備が遅れるケースもあるのだとか。雨水の再利用対策・水害対策というのはとても地味な取り組みのように思えますが、今回のケースでは、地域とWin-Winの関係を構築するための重要な存在となっています。そう考えると、こうした“地味な”取り組みが、“なくてはならない”存在になるのも、そう遠くないかもしれませんね。

「エコロジー」による副次効果。これから注目すべきトピックです。

 

 

 

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